山下達郎の音楽とつながる世界

こんにちは。読者との直接のやりとりって、実は村上さんに一番向かないことのような気が、一読者としてしているのです。それはストーリーに比較的読者なりの想像や解を必要とするというか、自由に受け止めて良いとしてくれていて、こたえや結末をダイレクトに描く(中~長編小説において)作家さんではないからです。それでも今回もこのような場を設けられたということは、忌憚のないやりとりを望まれていると信じて書いています。すんなり質問しなくてごめんなさい。

村上さんは音楽家の山下達郎さんについて、どう感じられますか? また、感じておられますか? 同世代の人物であり、ジャズへの傾倒等、ご趣味(?)が重なるところがあるのかなと。私は世界の音楽にそんなに詳しい人間ではありませんが、村上さんの小説を読んでいるとオーバーラップする曲がいくつかあります。村上さんの好きとおっしゃってる音楽もいくつか聴いてみました。けれども自分の中ではお二方の作品の個性がどうしても頭でつながってしまうことがありました。尊敬はしていますが私はそんなに強い山下氏のファンでもありませんし、自分でも不思議なのですが。特に『海辺のカフカ』で感じました。

村上さんの作品をバイブルのように読んできたうら若い時期がありました。わりと人より遠回りした人生なので35歳という年もドキドキしながら迎えました。20代初めに何気なく人に勧められ手にした本が、昨今ファンはハルキストだのノーベル賞候補だのどんどん存在が膨らんで驚いています。世界中であなたの作品に共感している人がいるという事実は、あなたの本を読む時に特別な温もりを感じることができます。私はただただ村上さんの作品を同時代に読めることに読者として大変幸せを感じております。短長問いません。これからも作品を楽しみにしています。
『ティファニーで朝食を』の訳も好きでした。
(Vermeerbleu39、女性、35歳、主婦)

僕は決して忌憚のないやりとりを目指しているわけではありません。ここでは言わないこと、言えないこともたくさんあります。言えることだけを率直に、正直に言っているだけです。僕が言いたいことをすべて忌憚なく言い出したら、けっこうむずかしいことになるかもしれません。質問に答えるところは答えますし、答えられないところは答えません。これは前回のやりとりのときと同じことです。ご心配していただけるのは嬉しいですが、大丈夫だと思いますよ。

このあいだうちの近所のスーパーにミスドのコーナーができて、そこで一日中、山下達郎さんの「ドーナツ・ソング」が流れていました。懐かしくてつい買ってしまいました。

村上春樹拝