失礼にも熱く見つめてしまい……

私はいつか村上さんに謝らなければならないと思っていました。
もう20年近く前の話になりますが、NYのダウンタウンの四つ角全部がカフェの、そのどこかの店でお茶を飲んでいたら、村上さんが真剣に書き物をしていらっしゃいました。
最初は誰かわからなかったので、あのいい男は知り合いだったかなとじっと見つめてしまいました。思い出せず悩んでいたら一瞬のうちにもう村上さんはいなくなっていましたが、
すぐあとでハッと思いつきました。あの時は失礼にも熱く見つめてしまいごめんなさい。
あれは幻ではなく本物の村上さんだったのですよね? 
(みかづき、女性、51歳、会社員)

まったくそういう覚えはありませんが、その頃は東部海岸に住んでいたので、NYに行って、カフェで書き物をする機会もあったかもしれません。それが僕であったかどうか、今となっては確かめようもありません。まあ、それは僕だったということにしておきましょう。「いい男」と言われることもそんなにしょっちゅうはないですしね。

村上春樹拝