猫を飼いたい料理人より

初めまして。僕はミュンヘンで日本食の料理人をやっています。
村上さんの本は20代の頃からずっと読み続けています。小説やエッセイ、翻訳本、そのほとんどを読んでいます。エッセイでは『遠い太鼓』、小説では『羊をめぐる冒険』『世界の終り~』『ねじまき鳥クロニクル』が特に気に入っており、何度も読み返します。

ところで、そんな風に村上さんの本を何度も読んでいたある日、自分がものすごぉぉい「猫好き」であることに気がつきました。思い返しても村上さんの本にはとても良く猫さんたちが登場しますよね。どの猫さんたちも個性と魅力が溢れ、いつしかそんな猫を傍らに生活をしたいと思うようになってしまっていたのです。

しかし、自分が料理人であるが故にペットを飼うことをご法度にしてきました。もちろん料理人の方でペットを飼っている人は沢山いるでしょう……けれど、長く染み付いた自分の中の「ご法度」のせいで、いまや日々悶々と悩むばかりです。
もういっそのこと、自分で作ってしまった「壁(ご法度)」を打ち破って、放り投げて、ズタズタにして、にゃんにゃんと頬ずりしてしまえばいいのかもしれないですね(笑)。
すみません、つまらない話にお付き合いくださって……ありがとうございます。
(こんぶとでんぶ、男性、45歳、料理人)

ミュンヘンには四年くらい前に行きました。日本食の料理人をなさっているんですね。僕はミュンヘンではもっぱらビールを飲んで、白ソーセージを食べておりましたが。ドイツに行っても僕の本を読み続けてくださってありがとうございます。

そうか、料理人は猫を飼ってはいけないんだ。でも仕事前にシャワーを浴びて、きれいに手を洗ったら、それでいいんじゃないでしょうか。猫から何か伝染病がうつるということもないでしょうし。僕も飲食店を経営しておりましたが(いちおう調理師免許を持っています)、猫はばしばし飼っていましたよ。いいじゃないですか、猫を飼って、好きなだけすりすりしていれば。人生が楽しいですよ。

村上春樹拝