何のために走らなくてはならないか

初めまして! 只今村上さん訳の『高い窓』を読んでいる最中です。ところでお伺いしたいことがあります。私もマラソンをしているのですが(そろそろ走歴10年になろうとしています)、年齢のせいにしたくないのですが、故障に加えて、体の硬さ、筋力不足なども影響し、サブフォーがきつくなり、走るのが楽しく思えないときもあります。村上さんはかなり走ってらっしゃいますが、そうした不調や年齢などにどう抗ってこられたのでしょうか?(勝手に自分と同じように考えておりますので、全くそうしたものは感じられないということでしたら、現在はどういう風に走っておられるのか、どういうトレーニングをなさっておられるのかなどを、お教え下さると幸いです)ぜひよろしくお願いいたします! 
(シロテナガザル、女性、47歳)

加齢とともにタイムは落ちてきますし、走ること自体もきつくなってきます。これは当然のことです。でも僕はかまわずにずっと走り続けています。どうしてか? ものを書くには体力はどうしても必要だし、それを維持するには、身体をフィジカルに動かし続けるしかないからです。つまり僕は「小説を書く」ということに目的を特化して走り続けているようなものです。タイムなんかは二の次です。

あなたも「自分は何のために走っているのか? 何のために走らなくてはならないのか?」ということをあらためて考える段階にさしかかっておられるのでしょう。考えてください。それはあなたの生き方そのものを考えることでもあります。

村上春樹拝