関空で村上さんを見かけたのですが

村上春樹様
随分ながい間、村上さんの本を読んでいる者です。
私には、ずっと後悔していることがあります。
15年ほど前に、関西国際空港で村上さんをお見かけしたことがあります。
当時から村上さんの大ファンだったものですから、重い荷物を抱えたまま、村上さんに握手していただきたくて、必死に村上さんの元へ走りました。
しかし、エッセイなどで、街でファンの人に声をかけられるのが苦手だと書かれていたのを思い出して、私は声をかけることができないままだったのです。
そのことを今でも悔やんでいます。そのことを友人に話すと大抵「そういう後悔は、キムタクとかでするものだ」などと、心ないことを言われます。

私は、基本的にはあまり物事をくよくよ思い悩まない方です。そんな私がこんなにも長い間うじうじと後悔し続けているので、もし今度村上さんと世界の何処かで出会うことができたら、その時はお声をかけてもいいですか? 握手していただけますか? 
その許可をいただきたく、メールさせていただきました。
これからも、村上さんの本が出版されるのを一番のたのしみにして、毎日頑張っていきます。
(コラードG60、女性、40歳、主婦)

えーと、「そういう後悔は、キムタクとかでするものだ」ってどういうことなんだろう? そう言われると、ふん、キムタクじゃなくて悪かったですね、とか言いたくなります。まあそれはいいんだけど、でも問題は、僕が関西国際空港に行ったことが一度もないということなんです。すみません。それは村上春吉くんです。僕じゃありません。

村上春樹拝