照明が暗かったからでしょうか

村上様
こんにちは。私は村上さんと同郷です。そんな私は、高校時代から東京に下宿しており、関西ホームシックにかかった私が夢中になったのが、『風の歌を聴け』でした。以来、村上さんの本は欠かさず読んでいます。

あれは17年くらい前のNYマラソンの日だと思います。そんなファンの私がニューヨークの日本そば屋さんで嫁と二人で食事をしていた時、村上さんが黒っぽい服を着た素敵な女性を連れ隣のテーブルに座られました。

興奮を隠し切れない私は、「ファンです」と話しかけたい衝動に駆られましたが、「野暮なことだ」と思い直し、チラ見のみでお店を後にしました。私は今でもあれは村上さんだったと固く信じていますが、果たしてそうだったのでしょうか? 

まあ、このような機会も中々ありませんから、ファンのささやかな感動!?をお伝えしたくなりメールしました。

因みに階段を下ってお店を出る途中、坂本龍一さんとすれ違ったと嫁は言い張っておりますが、私は全く記憶にありません。
今はまた海外で仕事をしていますが、外から見る日本はいろいろな意味でどんどん窮屈な国になっているようで少し心配です。
それではお身体に気を付けて、これからも素敵な小説を書き続けてください。
とても楽しみにしております。
(ピース、男性、49歳、会社員)

よく覚えていないんですが、そのお蕎麦やさんって、今はなき「本むら庵」のことでしょうか? もしそうだったら、それは僕かもしれません。マラソン・レースの前にお蕎麦を食べに行くというのはありそうだから。素敵な女性? 覚えがないけど、ひょっとしたらうちの奥さんのことなのかな? 照明が暗かったのでしょうか(殴られそう)。

そうですね、日本はだんだん窮屈になっているかもしれません。精神的にも思想的にも、閉じこもり傾向が出てきているというか。若い人たちには、がんばってもっと外に向かって自由に広がっていってもらいたいのですが。

村上春樹拝