村上さんは神話を書いているんですか?

村上さんはじめまして。
村上さんの小説はほとんど読みました。というより、なぜだか読んでしまうのです。それがとても不思議なのです。村上春樹は現代において神話を紡いでいるのである、と何かで読みましたがそういうことなのでしょうか。だから読んでしまうのでしょうか。

村上さんの作品については色んな人があーでもないこーでもないと分析しますね。
私はそういうのは嫌いです。村上さんもそういうの嫌いだと思います。

村上さんの作品に出てくるジャズとかクラシックとかオシャレな食べ物のこと、私にはよくわからないのでイメージが湧きにくいこともよくあります。だけど読みます。

大切なことが書いてあるんだけど、それがなんなのか、わからないのです。
我々は生きていかなくてはならない? うまく言えないのですが、村上さんの小説を読んだ後は苦しい気持ちになってしまいます。神話に苦しめられていると思えば納得できるような気がするのですが。村上さんは神話を書いているんですか。
それともそんなつもりはないのでしょうか。教えてください。
(たまこ、女性、34歳、調理師)

世界にはいろんな神話がありますが、どこの国の神話にも「共通する部分」がとても多いんです。同じような成り立ちの話がとても多いです。それについてはジョーゼフ・キャンベルという人が『生きるよすがとしての神話』『神話の力』の中で詳しく語っています。なぜ「共通する部分」が多いのか? それは人というのは、言語や文化の違いを超えて、時間を超えて、意識の底の方でみんなしっかりと同じ水脈に繋がっているからだ、というのがキャンベルの考え方です。無意識下のイメージはだいたいみんな似ているんです。

僕が小説を書くときも、そのような無意識下のイメージをできるだけ繋げていきたいという思いがあります。あなたは僕のそのような思いにうまく感応してくださっているのかもしれません。だとしたら、僕としても嬉しいです。

村上春樹拝