身近な人の死の受け止め方

初めまして。
大学生の頃から村上さんのファンでほとんどの著書は読ませていただいてます。

いつも村上さんの本を読むと、答えは出ないけどとにかくよく考えるようになるのです。
大抵の村上さんの著書でよく考えるのが死についてです。御嶽山の噴火で親しい友を亡くしました。兄も父も以前事故で突然亡くしました。死についての村上さんの考えを聞きたいです。

よくその人の分まで幸せに、精一杯生きろと言われますけど、その人がいたことの幸せが失われた中でどう受け止めていいのかわかりません。自分で見つけて自分で歩んでいくしかないと思うのですが、それはその人を忘れることになりそうで怖いです。人間てエゴイストで残酷でそうするしかないのでしょうか。
(リリィ、女性、49歳)

とてもお気の毒です。親しい方を事故で亡くされると、自分という存在から何かが急激にもぎ取られてしまったような気がします。なかなかそれを受け入れることができません。気持ちの中に空洞ができてしまいます。僕にもそういう経験があります。僕があなたにアドバイスできることはほとんど何もないのですが、もしあなたの中に空洞があるのなら、その空洞をできるだけそのままに保存しておくというのも、大事なことではないかと思います。無理にその空洞を埋める必要はないのではないかと。これからあなたがご自分の人生を生きて、いろんなことを体験し、素敵な音楽を聴いたり、優れた本を読んでいるうちに、その空洞は自然に、少しずつ違うかたちをとっていくことになるかと思います。人が生きていくというのはそういうことなのだろうと、僕は考えているのですが。

村上春樹拝