ビオラ弾きのためのお話

村上春樹さん、はじめまして! 
先日、『小澤征爾さんと、音楽について話をする』を拝読しました。
あまり聞くことのできない指揮者目線でのいろいろなお話を、よみやすくまとめてあって、私にとっては、とっても勉強になる一冊でした。また、村上さんの音楽に対する執着(といってもいいのかしら)が、ねばらない程度に表れていて、読んでいて面白かったです。
で、ここからが本題なのですが、私はビオラ(ヴィオラ)奏者です。

バイオリンからの転向組ですが、なぜもっと早くビオラに出会っていなかったのかと、後悔するぐらいビオラが大好きです。

しかし所属するアマチュアオーケストラには、バイオリン40数名、チェロ17名もいるのに、ビオラは3名しかいません。コントラバスだって5名いるのに……。
日本では、ビオラというと「皇太子さまが弾いている楽器」という程度の認知度はありますが、それ以上話が続かない、大変残念な楽器です。

アルト記号という、ト音記号、ヘ音記号とちがう楽譜を読まなければならないという特殊性はありますが、それにしたって、人気がなさすぎます。

たしか『1973年のピンボール』に、ビオラ弾きの彼女が登場しますよね。だから、村上さんはきっとビオラにたいして、悪い印象は抱いていないだろうと、かなりこじつけ的に信じて、お願いです。

日本中のバイオリニストが楽器をかなぐりすててビオラをひきたくなるような、そんな素敵なビオラのお話を、していただけませんか? 

ビオラ奏者が増えれば、日本中のビオラ不足で悩んでいるオーケストラが潤います。また、あちこちの演奏会で引っ張りだこにされ過ぎて演奏疲れしている日本中のビオリストは、休むことができます。

これからの日本の音楽発展のためにも(言い過ぎ?)是非お願いします!!!!
(きっつ、女性、40歳、自営業)

え、『1973年のピンボール』にビオラ弾きの女性なんて出てきましたっけ? ぜんぜん覚えていません。すみません。

僕はビオラの今井信子さんにお目にかかってちょっとお話をしたことがあります。若い学生たちを指導しておられるときだったので、そういう話をした記憶があります。彼女のビオラは素晴らしいですね。バッハの無伴奏チェロ組曲を彼女がビオラで演奏したアルバムは、僕の愛聴盤になっています。でもビオラのための独奏曲とか、コンチェルトとか、数がとても少なく、レパートリーが限られていて、かなり「渋い楽器」というポジションは揺らがないようです。僕もオーケストラに入るのなら、ビオラがいいかなと考えたりしています。目立たないポジションがわりに好きなので。モーツァルトのクインテットなんかもやってみたいし(あれはビオラ二本ですよね?)。

村上春樹拝