カルトのなかで育ちました

村上さん、『1Q84』で、カルト宗教に育てられた子供の心の闇について書いて下さって本当にありがとうございました。上辺だけ道徳的でも心が冷え切るような人間関係や、極度に世間と隔絶させられて生きることの辛さを書いて下さって、しかも世界に発信されたことの意義は大きいと思います。まさにある宗教団体の二世として育てられた自分は、青豆に同情し貪るように読ませて頂きました。青豆が人を殺す時に祈る、あの皮肉な描写が好きです。今では棄教して社会で生きていますが、折々に世間とのズレがある自分の考え方、感じ方に気付き、その度に古傷のようにカルト育ちの自分を意識させられてしまいます。これから自分はどんな心持ちで生きていけばよいのでしょうね? 時間が解決してくれる問題でもないような気がします。
(フォルセティ、男性、36歳、会社員)

あなたのような経験をされた方から、ときどき手紙なんかをいただきます。成長期にそのような団体の中で生活された方は、「普通の」社会に出てからいろいろと苦労されることが多いようです。たいへんですね。でもがんばってください。及ばずながら応援しています。ご自分の体験を、少しでもプラスの方向に転じることができるといいですね。それは決して不可能なことではないと思いますよ。

村上春樹拝