車ありきの社会が苦手なんです

村上さん、はじめまして。
僕の車嫌いについて相談です。でも格別、車そのものが嫌いというわけではありません。
救急車やバスは好きです、車ありきの社会というものが苦手なんです。
自家用車の数が多すぎる気がします。渋滞を見ているだけでイライラしてしまいますし、横断歩道を渡ろうとしているのに前を車が何台も通り過ぎると、ついついその1台ずつに火炎瓶を投げつけてしまいます(心の中で)。

時々、夢の中で車を運転している事があります(自動車免許は取得していないし、今のところ取得する気もありません)。その全てが何かに追われていたり、戦車と戦っていたりなど、恐怖の中での運転でした。きっと心のどこかに自分で車を運転する事に対する恐怖心もあるのだと思います。

こんな僕が車社会、いや、車世界と少しでもうまくやっていくにはどうすればいいでしょうか。また、村上さんが思う自家用車のいい所、好きな所があれば教えてください。
(ナッシュビル=ナラシノ、男性、21歳、会社員)

僕もずっと車嫌いで、まったく運転しなかったのですが、外国に住むようになり、車なしでは生活できなくなったので、三十代後半になってやむなく運転免許をとりました。しかしもともとが凝り性な人間なので、手のひらを返すように、ついつい車に夢中になり、あきれられています。以来世界中で車を運転してきました。若葉マーク時代をローマで過ごしたというのが僕のささやかな自慢です。あそこの運転はなにしろ半端じゃないですから。

東京に住んでいると、車って不要ですね。電車とバスとタクシーで事足りるから。僕も東京にいるときにはほとんど車に乗りません。せっせと歩いています。

村上春樹拝