小澤征爾さんと音楽的な文章

『小澤征爾さんと、音楽について話をする』を読みました。おもしろかったです。小澤さんとルービンシュタインの共演が録音されていないのはもったいないですね。

あとこの本を読んでいて、えっ? と心にひっかかったところがあります。村上さんが小澤さんに、音楽的な文章や、リズムの良い文章の話をしたあとに、小澤さんは「どういうことなのか、まだよくわからない」とおっしゃられていたのが印象に残りました。小澤さんは楽譜を読めば頭のなかで音楽が鳴る凄い人なのに、音楽的な文章のことはよくわからないということが意外でした。

耳の良さにも、きっといろんな種類があるんでしょうね。
(蟹みそ、男性、34歳、フリーター)

小澤さんは純粋に、ある意味では抽象的に、概念としての音楽と行き来できる能力を持った方なので、それを文章に結びつけるという発想がないのではないかと思います。僕は音感で文章を書くことが多いのですが、その結びつきが理解できないのでしょうね。あの方の中では音楽は音楽として完結してしまっているから。そういうことだと思うんですが。

村上春樹拝