即興演奏のように書いてみたい

はじめまして、村上さん。
いつも作品を楽しく読ませていただいております。
質問があります。
村上さんが小説を書くときはジャズの即興演奏のように書いているとどこかで読んだことがあるのですが、それは小説家には良くあることなのでしょうか? 
私もジャズの即興演奏のように小説を書いてみたいので、村上さんがどのような形でこういったスタイルにたどり着いたのかお聞きしたいです。
(TK、男性、26歳、介護士)

たどり着いたも何も、そういう風にしか書けないから、そうやって書いているだけです。僕はほんとうはミュージシャンになりたかったんだけど、楽器がうまく習得できなかったので、楽器を弾くように文章を書きたいという気持ちが強かったのだと思います。小説家にはよくあることなのか? 僕にはほかの人たちの書き方はよくわかりません。でもプランも何もなく、ただ気持ちの赴くままに文章が書けるというのは、僕にとってはすごく素晴らしいことです。『ブラックホークのマイルズ・デイヴィス』のウィントン・ケリーの隙間を縫うようなピアノソロを聴いていると、こういう文章があるといいよなと、いつも思います。

村上春樹拝