私のお手紙読んでくれましたか?

春樹さん、こんにちは。
高校生の時からの熱心な読者です。
2013年5月の京都での公開インタビューに幸運にも参加することができました。春樹さんが舞台袖から歩いてこられる姿を拝見し(なんと三列目でした!)、二十年分の思いがこみ上げ涙が出てきたとともに、ピンクのパンツ姿に軽く衝撃を受けました。それはさておき、あの時間は私の人生の中でもベスト7に入る幸せなものでした。

その時に受付の方に手紙をお願いしたのですが、無事読んでいただけたのでしょうか? 伝えたいことがたくさんあったはずなのに結局ありきたりの言葉で終わってしまい、一生に一度であろうチャンスをいかせなかったことが悔やまれています。猫の便箋にしたためた私の思い、受け取っていただけたでしょうか。

そのことを確認したく、今回メールさせていただきました。
(匿名希望、女性、37歳、主婦)

僕のパンツの色はピンクじゃなくて、たしか、明るいえんじ色だったと思うんだけど。違ったっけなあ。よく覚えていません。でもいずれにしても、とくに衝撃を受けるようなものでもありません。いつもはいています。

お手紙は拝読しました。どうもありがとう。そうですか、岡山県からわざわざ京都まで来てくれたんですね。せっかく遠くまで来てくれたんだから、何か芸ができるとよかったんですが、ほんとに何もできなくてすみません。そうだ、『ジェット・ストリーム』のナレーションのまねはできます。声がわりに低いので。今度やりましょう。『ジェット・ストリーム』のナレーション、知ってますか? 知ってるといいんだけど。

村上春樹拝