ハナレイ・ベイに魅せられて

昨年、ハワイへ旅行した際オアフ島だけだとつまらないと思い、急遽カウアイ島に向かいました。
リフエの空港でレンタカーを借りて、ハワイの原風景が広がるその島はとても居心地が良くてドライブをしていても、とても気持ちの良い場所でした。ホテルも決めてない寄り道だったので国道をなんとなく北に向かい、終点に近い場所で見えたのが湾曲した小さなビーチでした。子供たちが砂浜で戯れ、波打ち際を初老の男性が犬と散歩している何気ない風景。
車を止めて桟橋を歩くと、沖では何フィートという大きな波がうねっている。
それに向かってパドリングするサーファーたちの姿を見たときに、初めて「ハナレイ・ベイ」という小説を思い出したのです。
8年ほど前、タイトルが気になって何気なく書店で手に取った『東京奇譚集』。老警官サカタの言葉がふっと耳をよぎりました。とても感慨深い偶然でした。にぎわいのない落ち着いた雰囲気や、肌にまとわりつく湿気、突然の雨。小説の世界観がそのまま広がるその場所は、私のお気に入りとなりました。
あとで村上さんが住んでいたということも知りましたが、なぜあの小説はハナレイ・ベイだったのでしょうか? 
ちなみに嫌いな場所は六本木です。
(book、男性、35歳、会社員)

ハナレイ・ベイはとても素敵なところです。僕はよくあそこの湾を横切るようにして泳いでいました。波打ち際に近いところはサーファー御用達ですが、沖の方に出ると意外にほとんど波がないんです。桟橋の先から海に飛び込んで泳ぎました。あそこを泳いでいると、なんだか別世界に来たような気がしたものです。誰もいなくて、しんとしていて。でもカウアイのノースショアは海が冷たくて、泳げるのは五月から九月くらいまででした。南側は冬でも泳げるんだけど。

それからハナレイ・ロードレースというのもありました。道路の突き当たりに近いハエナ・ビーチからハナレイの町まで、15キロほどの曲がりくねった山道を抜けるレースです。これもなかなか楽しいローカルなレースでした。ランナーはみんな近所の顔見知りみたいなもので。走り終わってからそのへんの店で、パンケーキの朝食をおいしく食べました。

村上春樹拝