「シンフォニエッタ」の思い出

村上さん、こんにちは。
『1Q84』を読みはじめて、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が出てきたとき、おっと思いました。クラシックには疎いわたしが知っている、思い出深い曲だったからです。

今から20年ほど前、ドイツで働いていました。休暇にプラハへ行くことになり、当時のドイツ語の先生にその話をしたら、「ヤナーチェクのCDを買ってくることをおすすめします」と言われました。「シンフォニエッタという曲はとてもいい曲だから聴いてみてほしい」と。言われたとおりにCDを買って聴いてみて、なかなかすてきな曲だな、と思いました。

CDは度重なる引っ越しでなくしてしまったのですが、『1Q84』でヤナーチェクが出てきたとき、その先生のことを思い出しました。ちなみに、ドイツを離れるとき、先生には『羊をめぐる冒険』のドイツ語版をプレゼントしました(本が好きな方だったので)。

本を読んだり、音楽を聴いたりすると、ときどき思い出がくっついてくることがあります。わたしの思い出話を聞いてくださって(読んでくださって)ありがとうございました。
(1Q89、女性、44歳、兼業主婦)

僕は一度だけ「シンフォニエッタ」の演奏をコンサートで聴いたことがあります。あの曲って、楽器編成が特殊なので、コンサートではけっこうやりにくい曲だったのですね。ファンファーレの部分だけ、オーケストラとはべつに編成するんです。知りませんでした。でもナマで聴くと、CDなんかで聴くのとはちょっと違う感動があります。深く感じるというか。僕はヤナーチェクのオペラ『賢い雌ぎつね』も好きです。雌ぎつねの最期がかわいそうだけど。

村上春樹拝