フィッツジェラルドのデビュー作の翻訳は?

春樹さん、こんにちは。
8歳の男児を持つ47歳の既婚男です。ちょっと前にフィッツジェラルドのデビュー作『楽園のこちら側』の直筆原稿がネットで公開されたようですが、この小説は長いこと誰にも翻訳されていないようです。デビュー作ということで、それほど作品の出来がよくなく、翻訳される方々の食指が動かないということなのでしょうか。100年近く前の小説ですので、権利関係の問題というのでもないでしょうし。
(ガープ男、男性、47歳、無職)

『楽園のこちら側』はずっと昔に日本語に翻訳され、出版されたことがあります。もちろん歴史的価値はあるので、出版する意味はあるのでしょうが、実際に手にとって読む人は多くないでしょうね。読んで「これは面白い」と思う人もあまりいないんじゃないかな。当時はセンセーショナルだったんですが、なんといってももう百年近く前のことですから。僕自身は一度読んだだけですが、もう一度読み返したいとは思いませんでした。長編は『グレート・ギャツビー』と『夜はやさし』、そして未完ですが『ラスト・タイクーン』があれば、それでじゅうぶんだと思います。翻訳がなくても、研究者は原文で読めるでしょうし。

村上春樹拝