シネコン化を憂う

最近、映画館がシネコン化して昔ながらの出入り自由で何回でも映画が観れて、1日中いられるような映画館がなくなってしまいましたが、村上さんはこの状況をどう思われますか? 私は、つまらないな~と思ってしまいました。映画が、硬くなり過ぎて映画以外の面白さがなくなってしまったような気がします。宜しければご返答もらえると嬉しいです。
(リーグ、男性、35歳)

僕のうちの近所も大きなシネコンしかなくて、だいたいにおいてあまり見たい映画をやってないので、不満がたまります。駐車場が広くて便利なんですけどね。大学時代に「早稲田松竹」とか「新宿日活名画座」とか「文芸座」とか通っていたころが懐かしいです。楽しかったな。ケンブリッジに住んでいたころ、ハーヴァード大学のシネマ・アーカイブみたいなところで毎週映画を上映していて、ここによく行きました。ハーヴァードのIDがないと入れないんだけど、客層の反応がヴィヴィッドで面白くて(もちろんみんな学生かファカルティー〈教職員〉です)、それだけでもけっこう楽しめました。『パルプ・フィクション』のスニーク・プレビューみたいなことをやったときは、みんな興奮して、えらい騒ぎだったですね。この映画はぜったいに流行るぞ、と思いました。僕の場合、字幕なしで見ると、あの長い早口の蘊蓄・能書きはかなり理解不能でしたが、みんな大笑いだったな。

村上春樹拝