中国で教える日本語教師より

中国の大学で、日本語を教えている者です。言うまでもないことですが、現在の日中関係は、良くありません。このことが、中国で日本語を学ぶ学生たちにも暗い影を落としています。先日も、宿題の作文で“日本のサイトを覗くと、中国の悪いニュースばかりで悲しくなります”というものがありました。親の反対などで、日本語から専門を変更する学生も後を絶ちません。“グローバル化する社会で、日本語は大きな武器となります”“異文化コミュニケーションの鍵です”などと言ってはみるものの、自分で言って虚しくなります。ただ日本語を学ぶ若者たちの希望が失望へと変わらないことを願うばかりです。

外国語を学ぶ意味や喜びは、もちろん、人それぞれだと思います。村上さんにとって、外国語を学ぶということは、どういうことでしょうか。もし、村上さんなら、中国で日本語を学ぶ若者たちに何と声をかけますか。
(冷汗、男性、46歳、日本語教師)

いろいろと大変ですね。僕も外国にわりに長く住んでいたので、ちょっとしたことで日本人に対する現地の空気ががらっと変わってしまうことは、何度か経験しました。肩身が狭い思いをすることも多かったです。日本の政府って、外国に住んでいる日本人のことなんかほとんど何も考えてないんじゃないかという気がするくらいです。「なんなんだ、これは?」と言いたくなるようなアホな発言を政治家はするし。

でもがんばって中国で日本語を普及させてください。価値のあるお仕事だと思います。語学って大事なんです。異なった言葉で、異なった国の人とじかに話せるというのは、一種の惑星間通信装置を手に入れるようなものです。

村上春樹拝