運命のうずまき猫

村上さん、こんにちは。村上さんの作品が大好きです。ええと、いきなり父の話になります。私の父は幼少期に樺太で暮らしており、10歳頃引き揚げ船で北海道に渡ったのです。飼い猫がおりましたが連れては来れず、ずっと後悔の念に苛まれていた様で、何度もその話を聞かされました。その猫はお腹に渦巻きのある雄の茶トラで、港の電柱の上で船の方をじっと見ていたそうです。何度もその話を聞かされていたので、『うずまき猫のみつけかた』には勝手に運命を感じておりました。そこで質問なのですが、村上さんには運命の猫みたいな猫はいますか? 或いは過去にいましたか? その猫の事、それが過去の飼い猫なら、今はどんな風に思い出すのでしょうか……。

私も今3匹の猫と暮らしています。みんな可愛いのですが、やはり忘れられない猫がおります。樺太茶渦が父にとっての運命の猫だったのか? はわかりませんが、誰にもそんな猫がいるのかしら? と思ったりします。私は自分のその猫を忘れられなくて 時々ちょっと辛くなったりして、普通に思い出せる日がくるのかな? なんて思うんです~。
(まさみん、女性、そろそろ角だらけ(歳)、会社経営)

お父さんはサハリンに愛する猫を残して引き揚げて来られたんですね。断腸の思いであったと思います。電柱の上の方にのぼってじっと見ていたというのが切ないですね。お父さんもよほど猫が好きだったんだ。

僕が飼っていたシャムの雌猫は、いつも僕に手を握られて出産していました。陣痛が始まると僕のところに来て、僕の顔をじっと見ながら、一匹一匹産んでいった。すごくかわった猫でした。猫って普通、どこかに隠れて出産するんですけどね。とても懐かしく思い出します。

村上春樹拝