ななを想う

春樹さんこんばんは。お元気でお過ごしですか。
私はまだセーラー服の頃から、ずっと春樹さんのことが好きな、夫と2人家族の43歳の有職主婦です。春樹さんのことを考えると、世界にはまだ善きものがある、と、なんだか安心することができます。私は、子供が欲しくなかった訳ではないのですが、自然にまかせているうちに、子供ができぬまま43歳になってしまいました。
きっとこのまま、夫と2人で老後を迎え、一生を終えるのだなあ、と思うと、まあそんな人生もあるよね、とは思うのですが、ときどき、びょうびょうと、木枯らしが胸の中を吹き抜ける日があります。こんな私に、木枯らしをやり過ごすための、おまじないの言葉がありましたら、教えて下さい。どうぞよろしくお願いします。
(一姫二太郎三なすび、女性、43歳、教授秘書)

まだセーラー服のころから、と言われるとけっこう緊張します。とくに理由はないのですが、責任を感じてしまったりします。学生服のころから、とか言われても、べつに何も感じないんですが。

僕は人生に寂しくなると、長野の小諸市動物園の雌ライオン、ななちゃんのことを思い出します。僕はななちゃんの檻の前でずいぶん長い時間を過ごしました。じっと顔を見合わせながら。ライオンが一人きりで小諸の動物園にいるというのは、ずいぶん寂しいことなんだろうなと思いました。たぶん文化的にもあわないだろうし。でもとても優しい目をしているんですよね。ななちゃんのことを想いましょう。

村上春樹拝