整然とした計画都市が嫌い

失礼します。二十歳の大学生です。
僕は国立(くにたち)の街が嫌いです。駅の南口から3本、大きな道路が放射状に伸びていて、まっすぐで平らで、いかにも計画都市という感じです。周りの人に聞くと「いいところじゃん」「必要なもの揃ってるじゃん」と言われるのですが、僕が嫌なのはむしろそこです。全て整理されている感じがして、逆にそわそわしてしまうんです。
裏道を見つけたり、上り坂にうんざりしたりできることが、その街のチャームポイントになっていくんじゃないかなあと思います。
村上さんはそんな国立の街、ひいては「いかにも計画都市」についてどう思われますか? 
以前どこかで「一橋大学国立キャンパスのグラウンドで猫と一緒に走ったら、猫が腹いせにウンコした」というような内容のエッセイを拝見して、以来ずっと気になっていたので、お伺いします。
(S・T、男性、20歳、大学生)

僕は国分寺にしばらく住んでいたので、よく国立に遊びに行きました。すぐ隣ですし、友だちも住んでいましたから。でも国分寺と国立って隣同士なのに、ずい ぶんテイストが違うんですね。国立は文化の匂いのするきれいな街だけど、僕は国分寺のとりとめのなさみたいなのが、個人的にわりに好きだった。国分寺も今ではずいぶん変わってしまいましたが、昔は若い人たちが経営する意欲的なお店がたくさんあって、ざわざわとして何かと楽しかったです。僕も当時はその「若い人たち」の一人だったんですが。そういえば最近は国立も国分寺も、ぜんぜん行ってないですね。トライアスロンのウェットスーツをつくりに、かろうじて吉祥寺までは行ってますが。

うちの猫が一橋大学の陸上トラックでうんこしたのは、僕に追いつけなかった腹いせです。かなり性格のきつい雌のシャム猫だったので。一橋大学には悪いことをしたと思っています。

村上春樹拝