城崎にて風の歌を聴け

村上さん、はじめまして。僕が高校生(1996年ごろ)からのファンです。高校の夏休みに『風の歌を聴け』を読み、現代文の授業で志賀直哉の『城の崎にて』を読みました。当時、二つの作品に通底するものがあるような気がしましたが、村上さんご自身はいかがでしょうか。
(linus、男性、34歳)

うーん、どこが通底しているのか、僕にはよくわかりません。きっとあなたの中にその二つを通底させる何かがあったのでしょうね。読書というのはあくまで個人的な体験ですから、そこで何を感じるかは個人の自由ですし、それを言葉で説明する義務もありません。ただ「そういうものだ」と思って、総体として受け止めていればいいんだと思う。

僕は十八歳のころに友だちと一緒に、六甲山を越えて、神戸から城崎温泉まで歩いたことがあります。けっこうたいへんだったな。でもやっと城崎について温泉に入ったときは幸福だったですね。

村上春樹拝