せめて「セクシュアルな」にして……

最近年齢を重ねるにつけ「エロい」気持ちがどんどん萎んでいくのを感じます。村上さんの小説には、はっとするような新鮮で「エロい」描写がよく出てきますが、このような新鮮で「エロい」気持ちをいつまでも持ち続ける秘訣は何でしょうか? 
(sunsun、男性、56歳、会社員)

勝手なお願いかもしれませんが、できれば「エロい」というのはやめてくれませんか。せめて「セクシュアルな」と言ってください。そこにはわりに大きな違いがあります。僕がセクシュアルなシーンを書くのは、それが人間の心のある種の領域を立ち上げていくからです。そういうことがときとして物語にとって必要になります。暴力や血なまぐささもそれと同じです。非現実的なできごともそうです。それらが物語を有効に起動させていきます。

僕は今でもセクシュアルな気持ちを持ち続けているか? そういうものがなければ、小説なんて書けません。縁側で盆栽でもいじってます。でも盆栽にセクシュアルな気持ちとか持っちゃうと、ちょっと困りますよね。どうしたらいいんだろう?

村上春樹拝