薄毛コンプレックスを克服したい

27歳、男です。
村上春樹さんの考えとお言葉をいただきたく、相談します。僕の悩みは、薄毛です。すでに誰が見てもあきらかなほど、髪が薄くなっています。特にストレスが大きな環境にいるわけでもなく、不規則な生活を送っているわけでもありません。おそらく、遺伝による若年性の禿げと思われます。毎朝、鏡を見るたびにため息がでてしまい、いつしか鏡を見ることが嫌いになってしまいました。同じように、写真を撮ったり、それを見たりするのも目を背けてしまいたくなります。早く、自分の現状を受け止め、前向きに克服しなければいけないことはわかっています。
しかし、同い年の人と比べてしまったり、街中で幸せそうな若者をみると、どうしても「髪があれば……」などと、生きるのが嫌になってしまい、お先真っ暗と思ってしまいます。

こんな私にも、お付き合いしている女性はいます。もう、5年付き合ってもらっていて、本当にその人には感謝しています。半年前に、結婚の話をしました。そこで、はっきりと、髪が薄い人は無理だと言われてしまいました。それまで、きっと彼女なりに我慢してくれていたのだと思います。けれど、やはり両親や友達に紹介するときに、僕のような彼氏は見せたくないのでしょう。今も、彼女とは連絡を取り、遊ぶこともあるのですが、優しい彼女なので、僕に気を遣って付き合ってくれている状態なのだと思います。

村上春樹さんにお聞きしたいのは、こんな私でも、将来、生きててよかったと思える瞬間は訪れるのでしょうか。また、自分のコンプレックスをどう受け止め、克服していけばいいのでしょうか。最後に、彼女を振り向かせるために、どう自分を磨いていけばいいのでしょうか。
(NANA、男性、27歳、公務員)

うーん、けっこう切実な相談です。

僕が昔『日出る国の工場』という本のために「アデランス」社を取材したとき、担当の方が薄毛で結婚できない人の話をしてくれました。その人が言うには、「かつらをつけて交際して、さっさと結婚して、そのあとでかつらをとってカミングアウトすればいいんです。一度結婚してしまえばなんとかなるものです」ということでしたが、そんなに簡単にはいかないですよね。やはり相当にもめるんじゃないかと思います。一生ぶちぶち言われますよね。

いっそのことスキンヘッドにしちゃうという手もあります。気持ちいいかもしれませんよ。ついでにワイルドなタトゥーなんかもしちゃって、というのは冗談ですが。

村上春樹拝