英語なんて必要ないじゃん

悩める高校の英語教師より質問があります。巷ではグローバル社会が叫ばれていますが、日々生徒の英語嫌いに手を焼いております。二言目には、「将来英語使わないから、英語なんて勉強する必要ないじゃん」と言われることが度々あり、返答に困る事があります。英語が堪能な村上さんなら、こういう生徒にどういうアドバイスをしてあげますか? 「村上春樹がこういう風に言ってたよ」と生徒に言ったら、生徒の心に響くと思いますので、是非とも日本の英語教育に寄与するためにもご協力お願いします。
(チョコレートの箱、男性、43歳、教諭)

僕は基本的に、語学というのは興味がある人がどんどん自分で深めていくものだと思っています。やりたくない人にいくら無理にやらせても、単なるエネルギーの消耗じゃないかと。僕は学校時代、物理とか化学とか、すごく苦手でした。勉強もしなかった。でもそれで今苦労しているかっていうと、してないです。日常生活ではそういう知識はほぼ使わないから。語学も使わない人はきっと使わないんでしょうね。

でもコンピュータの世界ではすでに英語が共通語になっていますし、仕事でいざ必要になったときに「英語できません」だと、ちょっと困ることになるかもしれません。僕は日本の作家ですが、今は英語ができないと、とてもとても不便なことになっています。国際的な交流みたいなことがすごく多いからです。だから 「今の世の中、英語力がいつ必要になるか、わからないよ。そのときに話せないとすごく困るよ」と言って脅すくらいしかないんじゃないですかね。

イタリアとかフランスとか、昔は英語がほとんど通じなかったんだけど、今はずいぶん通じるようになりました。世界はどんどん変わっています。日本だけが取り残されていくみたいな印象があります。もちろん英語ができりゃえらいってわけじゃないんですが、文化的に内向きになってしまうってのはまずいですよね。

村上春樹拝