魂のリサイクル・センター

村上さん、はじめまして。苫小牧市在住の最終パンダと申します。長いこと「もうメールやりとり企画は行われないのか……」とさめざめ嘆いていた一人です。このたびは本当にありがとうございます。

支笏湖方面から苫小牧市内へ抜けると、街に入る手前に石材店とラブホテルがずらっと並んだ通りがあるのですが、そこが私の好き……というか、なんとなく気になる場所です。この場所は以前、村上さんがエッセイかメール本で言及されていたのを読んで、「おお、あの道のことだ」と思った記憶があるのですが、残念ながら出典を探し当てることはできませんでした。

実はあのあたり、すこし森の方へ入ると大きな霊園と火葬場とついでに動物火葬場があります(道路からは目立たないようにされている)。私は初めて火葬場というものに行った中学校にあがるくらいの頃から、「なんて効率がいいんだ」と、口にまでは出しませんでしたが感心しておりました。つまり石材屋さんはできたての墓石を霊園へ運びこむのが楽ですし、亡くなられた方の(あるいはペットの)魂も、ちょっとその辺を飛んだあと、すぐにできたての受精卵に入り込むことができるというわけです。魂のリサイクル・センター。子供心に、「輪廻転生ってこんなに固く信じられているものなのか」と、やや前のめりで納得していました。

その後大人になって、「子作り中にいちいち行くところでもないし、ラブホテルで受精卵が出来るというのは、比較的めずらしいケースなんだろうな」というようなことを学ぶわけですが、いまでも例えばロードバイクの練習であの辺りを通る時など、「魂のリサイクル、魂のリサイクル」といったフレーズが頭の中を行進していきます。日によってはけっこうきついヒルクライムの練習をした帰り道だったりもするので、疲れのせいでふいに口をついて出てきてしまうこともあります。魂のリサイクル、魂のリサイクル……。行程の中ではゆるやかな下りが続く気持ちのいい部分でもあるので、そういう意味では好きな場所とも言えます。

村上さんにも、このような「特定の場所によって想起されるしょうもない妄想」はあるのでしょうか。なんとなくですが、それこそ世界中に(港々に)山のように抱えている人なんじゃないかという気がしています。「そうはいっても、その場所に行かないことには出てこないよ」と言われそうな気もします。もしよかったらひとつ教えていただけると幸いです。それでは。

(最終パンダ、男性、28歳)

その短編小説の題名は「UFOが釧路に舞い降りる(だっけ)」というものです。たしかそうだったと思う(スタッフ註・正しくは「UFOが釧路に降りる」です)。エッセイではありません。小説です。あの通りはたしかにユニークですよね。人生に対する省察にふけらないわけにはいきません。墓石屋さんとラブホが交互に並んでいる。なにかと深く考えさせられます。

村上春樹拝