チャンドラー的なパンチ

レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』(早川文庫)を読んだあと、「結局、登場人物の中で得するひとがいたのかな」とか、「ヴァリンジャー医師とアールは何だったんだろう」とあれこれ考えました。村上さんの読みはどうですか? 
ちなみに私が『ねじまき鳥クロニクル』の中で好きな一文は、第2部の《結局誰も勘定を払っていかなかったのだ》です。とても痛快で、チャンドラー的なパンチを感じます。最後に、小手指にて一句、

ポトマック岸よりかへり咲く桜
(Newcomer、男性、37歳)

このあいだNHKで放送したミニシリーズ『ロング・グッドバイ』をDVDで見ました。とても凝った映像で、主役の浅野忠信さんも好演していました。 舞台のロサンジェルスを戦後間もない日本に置き換えるという設定自体はとても興味深いんですが、チャンドラーの文章力の強さというか、原作のイメージがあまりにも深く僕の(僕らの)頭に染みこんでいるので、すっとそこに入っていくことはわりにむずかしかったですね。これはしょうがないです。アダプテーションの善し悪しではありません。これはこれとして非「非寛容」に楽しむのがいちばんだと思います。

年末にチャンドラー『高い窓』の新訳(早川書房)を出しました。よかったら読んでみてください。

村上春樹拝