なぜ牛河を読みたいんだろう

村上さん、こんにちは。
今、『1Q84』を再読しています。おそらく読むのは4回目です。今回初めて、牛河に好感を持ちました。牛河は人に不快感を与えることはあっても、好感を持たれることはまずないと描かれています。実際に牛河に会ったことはありませんが、私も牛河に会ったら不快感、嫌悪感を持つでしょう。でも、なぜか牛河に好感を持ち、早く牛河の項を読みたいと思うようになりました。以前に再読した時は天吾くんが圧倒的に好きだったのに。牛河という人物について、村上さんはどんな印象を持ち、なぜこのような容姿の人物を描かれたのか、すこし教えていただければ嬉しいです。
よろしくお願いします。
(mishiko、女性、38歳、会社員)

牛河さん、いいですよね。書いていて楽しかったです。僕は昔から、ディケンズの小説『デヴィッド・カッパフィールド』に出てくるユーライヤ・ヒープみたいな「嫌なやつだけどなぜか魅力的」な人物が好きで、そういう人を書きたいなと思っていたんだけど、なかなか書けませんでした。ああいうの書くのって、ずいぶんむずかしいんです。でも牛河さんでやっとそういうものが書けたかなと思います。もちろん「嫌なやつ」度はユーライヤ・ヒープさんに及びませんが。

村上春樹拝