読まざる者、書くべからず?

はじめまして。村上春樹愛読者の、岸本と申す者です。小説家という職業についての質問です。一年間に二十冊ぐらいしか小説を読まず、毎晩二時間ぐらいはテレビのバラエティ番組を観ている人が、小説家になる可能性はあるのですか? つまり、こういうことです。例えば野球であれば、他人よりも少ない練習量の人がプロ野球選手になることは(前例的には)あり得ないことです。しかし、小説家という職業は、そういうものではないのでしょうか?あるいは、プロ野球選手のようなものなのでしょうか?
個人的な願望としては、世界で一番多く読書をして世界で一番多く執筆をした人が、世界最高の刺激的な小説を書くというふうに人間の能力ができていればいいなと思います。
村上さんのご推測をお聞かせください。宜しくお願い致します。 
(岸本、男性、25歳)

一年に二十冊も小説を読めばたいしたものです。ほとんど小説を読まずに小説を書く人もたくさんいます。才能がすべてです。でも僕が知っている優れた小説家は、みんなそろって貪欲な読書家でした。一度プラハでフランツ・カフカの書棚を見ましたが、とても丁寧に小説を読んでいた人なんだなと感心しました。やはり読まないよりは読んでいた方がいいと思います。

村上春樹拝