今ならもっとうまく書けたのに……

村上さん、こんにちは。いつも楽しく、時には悲しみながら小説を読まさせていただいています。
本当は個人的な相談をしようかなと思っていたのですが、いざメールを打ち始めると何だか気恥ずかしくなってきたので、やっぱりそれはやめにします。もう少し自分でうむうむと悩んでみることにします。
村上さんの作品では『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が一番好きです。僕がこの作品に出会ったのは2014年の1月でした。小説が書かれてから30年近く経っていますが、全く色褪せることはなく、むしろ今現在の社会に共鳴するところがとても多いように感じ、読後には心が震えました。以後何度も読み返しています。
村上さんはよくインタビューなどのなかで、あの作品は今ならもっとうまく書けたのに、とおっしゃっていますね。もし差し支えなければ、どういうところがもっと上手に書けたのか教えてくれると、この作品をもっとも愛する読者のひとりとして、想像の空間がさらに刺激され、それが喜びになります。
これからもお体に気をつけて、執筆活動頑張ってください。遠くからですが応援しています。
(とんこつ、男性、23歳、大学生)

昔つきあっていた女の子のことを考えて、「あのときもっとうまくやれたのになあ」と思ったことってありませんか? 僕はしょっちゅうあります。それと同じことです。もっとうまくやれたのになあ、と。でもあのときはあのときでベストを尽くしたんですよね。

村上春樹拝